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北海道新幹線開業まで半年。本県側の準備加速

県、市、商工界幹部に誘客など対応について聞く

 北海道新幹線新青森−新函館北斗間の開業まで約半年に迫った。八戸、新青森に続く三度目の開業と位置付ける本県はこれまで行政、経済界挙げて、道南地域と連携しながら開業効果を最大限得られるよう、さまざまな取り組みを進めてきた。開業まで約半年と迫った今、本県側の開業準備にも一段と加速がかかる。青函が新幹線で結ばれると、広域観光への期待も膨らむ。新幹線開業を見据えた取り組みは万全か。開業までに乗り越える課題は。県、市、青森商工会議所幹部に聞いた。

青森県 観光国際戦略局 局長 高坂 幹 氏

 来年3月開業予定の北海道新幹線は、東北新幹線八戸開業、同七戸十和田・新青森開業に次ぐ三度目の開業となることから、交流人口拡大につながる大きなチャンスととらえています。地理的、歴史的、文化的に深い交流のある青森県と道南地域が新幹線で結ばれ、一つの圏域として新たに生まれ変わる意義は大きく、観光、経済、教育などさまざまな分野で開業効果が波及する可能性を秘めており、道南地域と一体となった「津軽海峡交流圏」の形成を目指しています。

本県と道南は一つ。「津軽海峡交流圏」の形成目指す

 圏域内の人口は約184万人、総生産約6兆円、観光客数約4千5百万人となり、仙台圏、札幌圏に次ぐ経済圏域誕生への期待は大きく、同交流圏形成に向けた取り組み「λ(ラムダ)プロジェクト」に本年度約8億円を計上、36事業を展開します。青森県と道南エリアの観光資源や様々な交通手段を駆使して、津軽海峡交流圏を巡る新しい旅の形や価値を国内外の観光市場にPRしていきます。異国情緒あふれる函館の町並みやダイナミックな自然景観といった北海道ならではの魅力と、北海道にはない独特の気候風土に根ざした歴史や食文化、日本の原風景といった青森県ならではの魅力の両方を巧みに組み合わせることで、新しい価値を発信できると考えています。

 来年7月から9月に行われる「青森県・函館デスティネーションキャンペーン(DC)」は、「津軽海峡でつながる物語」をテーマに、二つのエリアの魅力を組み合わせ周遊する旅の喜びを提案していきます。前回のDCは震災の影響を受けましたが、今度こそ、開業効果を最大限享受するため、今年から首都圏をはじめさまざまなプロモーションを仕掛けてキャンペーンを大成功に導きたいと考えています。

 また、9月24日から4日間、東京ビッグサイトで開催される世界最大規模の国際観光イベント「ツーリズムEXPOジャパン2015」に、日本の地方公共団体として初めて「プレミアム・デスティネーション・パートナー」として参画します。特に、同25日夜にはJR東京駅前で日本の祭り、伝統文化の代表といえる「青森ねぶた」を運行し、国内外の観光のトップリーダーの皆様に向けて青森の魅力と、北海道新幹線開業を強力にアピールします。

 北海道新幹線の開業効果を最大限に獲得するためには、幅広い業界の方々が、これをビジネスチャンスととらえ、地域資源を活用した新たな商品づくりやサービスの創出などに取り組んでいくことが重要です。商工会議所や青森市企業の皆様の一層の御協力をお願い申し上げます。

青森市 経済部 部長 石澤 幸造 氏

 北海度新幹線開業に向け、青森ならではの地域資源を活用した更なる魅力づくりに加え、本年は新青森駅開業5周年の節目でもあることから、JR東日本、青森県をはじめとする関係機関の方々と協力しながら「新青森駅開業5周年&北海道新幹線開業カウントダウンイベント」など開業前イベントなども実施し、市民の機運醸成を図っていきたいと考えています。

 開業後の平成28年7月から9月には「青森県・函館デスティネーションキャンペーン」が開催されることから、青森市観光ポスターの刷新、モニターツアー、エージェントセールス等で本市の魅力をより多くの方々に知っていただけるような取り組みを進めてまいります。

青函新時代にらみ連携を強化

 さらに、本市と弘前市・八戸市・函館市で組織する青函圏観光都市会議が主体となって、4市のみならず青森県と道南地域の周遊滞在を促進する「青函圏周遊博」を開催し、デスティネーションキャンペーンと連動した取り組みを実施したいと考えています。また、冬期の観光については「こころ、あったか。あおもり*冬感動プロジェクト」などを進めており、市民の関心を高めながら、新たな観光コンテンツづくりにも努めてまいります。加えて、来年は東北六魂祭の青森開催も予定されております。

 北海道新幹線開業は、首都圏や東北地方からの更なる誘客に加え、北海道地域からの誘客や、コンベンションをはじめとしたMICE誘致の可能性も高まるほか、国内主要都市との移動時間の短縮による外国人観光客の誘客も期待されます。更には、青函圏の複数自治体が連携することで、札幌圏や仙台圏に匹敵する魅力的な圏域が生まれ地域経済の活性化が図られることを期待しています。

 東北新幹線全線開業の効果を持続・拡大させ、北海道新幹線開業効果を最大限獲得するため、開業効果を一過性のものとはせず、今回の開業を新たなスタートとしてより多くのお客様に来訪していただくためには、継続した魅力づくりが重要です。市と商工会議所とは観光振興会議による活動などにより、これまで以上に連携を密にし、来る北海道新幹線開業を機に雇用創出・所得向上に向け、様々な事業に取り組んでまいりたいと考えています。

青森商工会議所 部会・委員会 関係者の考え

観光サービス部会 部会長 中山 大輔 氏

 当部会では青森市、青森観光コンベンション協会と三位一体となり、インバウンドの促進、MICE誘致などに取り組んできました。特に、スポーツコンベンション誘致促進、冬の観光振興に力を注いできました。

 スポーツコンベンションでは今年1月から2月に、韓国カーリングチームが青森市で初の合宿を行いました。国内ではオリンピックはじめ国際大会開催をにらみ、選手団の事前合宿を誘致する動きが活発化しています。当市も海外選手団の事前合宿地として名乗りを上げており、今回の誘致は今後の追い風になるものと期待しています。スポーツコンベンションの促進は、観光の活性化、交流人口の増加が見込まれるなど、特に冬季の観光振興への貢献度が大きく、合宿地の決め手となるスポーツ施設の充実、選手が移動する際のアクセス面でのバックアップなどの受け入れ態勢の整備が急がれます。

スポーツコンベンション誘致に力。観光振興の呼び水に

 世界的に「日本食」への関心が高まっています。世界に誇れる青森ならではの食材をPRし、「夏は祭りで熱くクールに、冬は地酒、魚、温泉でホットに」−のイメージを発信していきたい。北海道新幹線の開業で、北から東北へつながる玄関口としての新たな役割・使命が求められます。どうしたら観光客を東北へ呼び込めるのか。行政とスクラム組んで取り組みます。

観光・国際化委員会 委員長 蝦名 正治 氏

 北海道新幹線開業後の夏に行われる「青森県・函館デスティネーションキャンペーン」への期待は大きい。当委員会も本番成功に向けた準備をしっかり整え、交流人口拡大の成果を十分挙げられるようリーダーシップを発揮していきたい。新幹線駅舎の新青森駅や奥津軽いまべつ駅が通過駅とならないよう、県内観光の足となるバスなど二次交通網の整備は急務です。

 青森の観光は桜、ねぶた、紅葉に代表されるように春、夏、秋の一時期に観光客が集中し、その他の期間は客足が遠のく状況が続いている。通年観光を掲げる本県にとって、特に冬の観光をどうするかは、古くて新しい課題。よく言われることだが、雪や冬季スポーツを活用、それに食、文化等の地域資源を組み合わせた魅力ある滞在型観光商品を造成し、「青森に行ってみたい」と思ってもらえる動機付けの構築が必要だろう。掛け声だけでは課題は解決しない。高速交通網などインフラの整備は全国津々浦々に及び、観光客を奪い合う競争はし烈です。北海道新幹線開業を契機に、中身のある冬の観光の確立・整備を図りたい。

北海道新幹線の開業を契機に冬期間観光の確立・整備急ぐ

 観光地の整備で言うと、十和田湖はかつて県内外から多くの観光客が訪れる県を代表する観光名所だった。が、その十和田湖の集客力が低下している。十和田湖遊覧、奥入瀬渓流の素晴らしさをアピールし、かつての隆盛を取り戻したい。十和田湖再生は観光行政の喫緊の課題でしょう。

 冬の観光では何といっても八甲田。1月から2月にかけて見ごろとなる八甲田の樹氷は、その規模、壮観さにおいて山形・蔵王、岩手・八幡平、秋田・森吉山をしのぐと言っていいほど素晴らしい景観を誇ります。宣伝力のせいでしょうか、その知名度不足は否めませんが、八甲田の樹氷を冬の観光の目玉に据え、大々的にPRしたい。海外からの観光客は移動範囲が広いので、八甲田を含む東北4大樹氷を楽しむ観光ツアーを企画すればもっとお客を呼び込めるはずです。観光を軸にした地域振興策は待ったなしの状況。地域間競争を勝ち抜くための知恵を結集したい。

青函圏交流委員会 委員長 後藤 薫 氏

 北海道新幹線開業まで3年を切った平成24年度から、青函圏経済の活力強化を目的とした青森・函館商工会議所「会員事業所パートナーシップ構築懇談会」を開催してきました。新幹線開業を双方の商機拡大に生かそうと、互いに協議し、実現しました。

 毎回青函合わせ40〜45社が参加、回を重ねるごとに参加する企業数も増え、企業間による「商品開発」「販路拡大」「技術提携・連携」に照準を合わせ活発な商談が行われています。青函による経済連携の可能性を探る過去4回の懇談会開催を通してさまざまな動きが出てきており、実際、同懇談会をきっかけに青函連携による多くのコラボ商品が誕生しています。青森市産カシスと函館産クリームチーズを組み合わせた菓子類などがその例です。青森市、函館市は食材が豊かで、青函連携の新ブランドが生まれる余地はまだまだあります。

経済圏活性化へ青函企業が連携   全国、世界へ誇れる商品開発を

 また、函館の土産専門店と青森の物産販売店が連携して互いの商品を販売ルートに乗せて取引エリアを拡大するといった成果も上がってきています。今後も新商品の試作を積極的に進め、取引エリア拡大への試みが軌道に乗るよう、当委員会として支援していきたい。

 今のところ、商品開発、販路拡大といった比較的目に見える分野での成果が上がっていますが、今後はそれ以外にも技術提携やソフト事業の開発といった形の見えない分野での連携を強化したいと考えています。青函両商工会議所には約5,500会員事業所があり、多種多様な事業を展開しています。これら事業所の知恵を結集し、青函圏経済飛躍への足掛かりとしたい。

 青森と函館の長所を合体させ、もっとボリュームのある、もっとグレードの高い商品を生み出していきたい。青森、函館双方がタッグを組んで、自信を持って日本全国にそして世界へ発信出来る商品の誕生に期待したい。


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