特 集


韓国選手(カーリング)ら青森市で合宿

経済界、行政連携プレーで初の誘致


合宿のため青森市を訪れた韓国・全羅北道カーリング競技連盟の選手団=青森空港

 青森商工会議所、青森市、青森観光コンベンション協会でつくる「青森市観光振興会議」が進めていた韓国カーリングチームの合宿誘致が実現し、全羅北道の同競技連盟に所属する選手らが1月28日から2月18日までの22日間、青森市で合宿を行っている。選手団は合宿中、「みちぎんドリームスタジアム」(青森市スポーツ会館)で市内カーリングチームと交流試合を行ったほか、歓迎レセプションや観光施設を巡るツアーなどに参加し交流を深めた。海外チームが合宿で青森市を訪れるのは初めて。国内では2018年に開催される韓国・平昌(ピョンチャン)冬季五輪、2020年夏の東京五輪をにらみ海外選手の事前合宿を誘致する動きが活発化している。同市にとって今回の誘致は追い風となることから、関係者は「今後の合宿誘致につながる」と期待を寄せる。MICE誘致の一環として、スポーツ・コンベンション誘致促進を先導してきた青森商工会議所は今後も五輪開催などを照準に事前合宿地の誘致に本腰を入れる。


商工会議所が誘致促進を先導

 合宿に訪れたのは、韓国南西部にある同競技連盟の選手と監督・コーチら総勢28人。1月28日午後、一行がソウル発の大韓航空定期便で青森空港に降り立つと、同空港ロビーで出迎えた青森商工会議所、市、観光コンベンション協会職員らが「歓迎、全羅北道カーリング競技連盟」とハングルで書かれた横断幕を掲げ、歓迎旗を振って歓迎した。あおもり観光マスコットキャラクター「いくべぇ」も愛きょうを振りまいた。選手らは朝から降り続いた雪の多さに驚きながらも和やかな表情を浮かべ、送迎バスに乗り込み市内ホテルに向かった。

 一行は同日、旅の疲れも見せずに「みちぎんドリームスタジアム」を訪れ、練習を行った。選手の中には韓国代表入りが有望と見られる選手も含まれており、選手らは氷の感触を確かめながら調整を行った。リンクには選手の熱のこもった掛け声が響き、ストーンの投球、スイーピングなどを入念にチェックしながら約2時間みっちり汗を流した。選手の一人は「素晴らしい環境で合宿出来るのはうれしい。しっかり練習してレベルアップを図りたい」と話した。

 青森商工会議所は今回の合宿誘致をめぐり先導的役割を果たした。当所は交流人口拡大による地域活性化策を掲げ、その柱にMICE誘致を据え、本市が持つ自然や食、祭りに代表される文化など地域資源を活かしたインセンティブ・ツアー招致と、国内外の学生、社会人、プロ選手による各種競技大会などを招致するスポーツ・コンベンション誘致に力を注いできた。とりわけ、韓国での冬季五輪、5年後に迫っている東京五輪を照準にした選手の事前調整合宿地として名乗りを上げ、行政、競技団体、民間事業者が連携し、市、県を挙げた早い時期からの取り組みを提唱、働き掛けてきた。中でもカーリング競技は、国内有数の競技施設を有し、冬季アジア大会や世界カーリングなど国際大会の開催実績を強調、誘致可能性を探ってきた。

 平成25年度は県商工会議所連合会、県、観光コンベンション協会に呼び掛け、二度の誘致調査事業を実施。JNTO(日本政府観光局)ソウル事務所を訪ね、イム・ヨンホンMICE誘致局長らに情報提供を行った。こうした折衝の中から、韓国カーリングチームが日本での合宿を検討している−との情報が浮上。昨年10月から同連盟に対する誘致活動が本格化した。

 「市観光振興会議」メンバーが同連盟を直接訪問、県および北東北3県北海道ソウル事務所が連携しプロモーション活動を実施した結果、今回の選手団誘致が実現した。

直行便、専用施設など利便・有意性決め手

 同連盟は昨年12月に事前視察を目的に青森市を訪れており、青森との空路直行便がある利便性やカーリング専用施設を利用できる優位性、宿泊施設と練習場を移動する際のバス送迎などアクセス面でのバックアップなど本市の受け入れ態勢を高く評価した点も合宿誘致につながった。

 2006年2月のトリノオリンピック冬季競技大会。カーリング女子日本代表「チーム青森」は7位に終わったが、その奮闘ぶりは日本中に感動を与えた。一気にカーリング人気に火が付き、全国に競技の面白さが知られることになる。

 こうしたカーリング熱を地域振興の追い風にし、「カーリングの街」を目指す青森市は市内小・中学生を対象にカーリング普及事業を実施し、カーリング人口の底辺拡大と選手の育成を図っている。その拠点施設「ドリームスタジアム」は日本で数少ない専用の屋内施設であり、過去に日本オリンピック委員会(JOC)のカーリング競技強化センターにも認定されている。パク・ジェチョル同連盟団長は「青森市は多くの市民がカーリングを楽しんでおり、競技の普及にも力を入れています。両国がカーリングを通して交流出来るのは素晴らしい」と語った。

 県カーリング協会などの全面支援も韓国側が青森合宿を受け入れた決め手になった。専用施設では一般開放や団体使用、さらに各種大会が開催されており、韓国チームの十分な練習時間確保が課題だったが、同協会とスポーツ会館の協力により、利用可能時間が大幅に拡大。午前7時からの早朝練習も可能となり、約3週間の合宿期間中、練習時間は延べ約80時間となった。

 同協会の協力で、同協会所属の選手(一般・高校生)と韓国選手団との交流試合も5試合組まれた。交流試合に臨んだ選手たちの間から「試合を通していい刺激を与え合った。日韓双方が良きライバル関係を築き、互いに世界の頂点を目指す存在になれればいい」との感想が多く聞かれた。


氷の感触を確かめながら調整に汗を流した韓国選手団=みちぎんドリームスタジアム

誘致の動き活発化。五輪照準に本市も本腰

 若井会頭は「会議所が火を付け、官民一体となって取り組んだ誘致活動が実を結んだ。今回が第一歩となり、今後のスポーツ・コンベンション誘致促進の弾みとなる」と話す。会議所は今後も行政、関係機関と情報共有化を図り、海外選手や競技団体の動きをいち早くキャッチし、合宿地としての優位性をPRしていく。来月には札幌市で「2015年世界女子カーリング選手権大会」が開催される。当面は同大会を舞台にロビー活動を行い、韓国以外の欧米の国々からも誘致活動を展開する方針だ。同大会に審判員として参加する県カーリング協会の佐藤健一会長は「青森の魅力をPRするパンフレットを関係者に配布し、ピョンチャン五輪に照準を合わせた誘致促進を進める」と話す。

 スポーツ国際大会の合宿地誘致合戦での地域間競争の出遅れを指摘される青森市だが、今回の誘致を機に本格的に“誘致レース”に名乗りを上げる。

歓迎レセプション

 全羅北道カーリング競技連盟選手団を歓迎するレセプションが1月30日夜、新町キューブで行われた。県、市、観光コンベンション協会など関係者約40人が韓国選手団一行を歓迎した。

 鹿内博市長が「皆さんの来青を市民ともども歓迎します。合宿の成果が上がり、青森の文化に触れる機会を通して双方の交流が深まることを期待します」とあいさつ、同連盟のパク・ジェチョル選手団長が「選手団を受け入れてもらい光栄です。皆さんの声援にこたえる意味でも実りある合宿とします。両市の良好な関係が末長く続くことを願います」と謝辞を述べた。對馬忠雄青森県カーリング協会名誉会長が「韓国と青森のチームが切磋琢磨し、オリンピックの大舞台で競い合えるよう頑張ろう」と、双方の健闘を誓い乾杯した。

 パク団長が韓国選手団を紹介、佐藤健一県カーリング協会会長が本県のカーリング事情を説明した。

 歓迎会では青森公立大学の留学生が通訳を務めた。韓国選手団らは片言の日本語を交えながら懇談。「雪の多さにびっくりしました」「日本の文化に触れるのが楽しみ」「青森のカーリング施設は素晴らしい」などと話し、友好のきずなを深めた。

 記念品贈呈では篠崎真孝青森合同青果社長がカーリングバナナを、石田憲久青森商工会議所副会頭がカーリングストラップを選手団に手渡した。


ワ・ラッセで「ねぶた囃子」の体験を楽しむ韓国選手ら

韓国選手団を歓迎したレセプション=新町キューブ

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