特 集


弘大大学院

青森市に25年度新設

「新エネルギー創造工学コース」を新設

北日本新エネルギー研究所で専門研究

 青森商工会議所(林光男会頭)がかねてより青森市と弘前大学に強く要望していた青森市への同大学院「新エネルギー創造工学コース」の新設がこのほど正式に決まった。同大学は併せて、食の研究拠点となる「食料科学研究所(仮称)」の青森市柳川庁舎内への開設も発表した。

 大学院、研究所ともに平成25年度からの開設となり、産業・経済界からは、「エネルギーと食の両面で最先端技術の研究が大きく前進し、県都・青森市の頭脳集積に拍車がかかる。新産業創出や人材育成の面で貢献する」―として、大きな期待が膨らんでいる。

 同大学が大学院理工学研究科内に新設する「新エネルギー創造工学コース」は基礎的な講義を弘大文京キャンパスで行い、専門研究を文京と青森市松原にある「北日本新エネルギー研究所」の両キャンパスで行う。

 同研究所は同大学が平成21年4月に旧市民図書館に設置(初年度は同センターとしてスタート、翌年研究所に昇格)して以来、エネルギー関連のさまざまな研究活動、プロジェクトに積極的に取り組んできた。商工会議所は大学院誘致に当たり、研究実績のある同研究所での専門研究を熱望。青森市と歩調を強めた熱心な誘致活動が実り、今回、同研究所での大学院専門研究が決定した。林会頭は「待望の大学院新設に加え、食料科学研究所開設を歓迎する。青森市としても受け入れ態勢の整備に万全を期してほしい」と話している。

 弘前大学は、第2期中期目標で「環境」「エネルギー」「被ばく医療」「食」の四テーマを研究の柱に掲げている。うち、「食」の分野での目玉施設となるのが「食料科学研究所」だ。

 食料科学研究所では、@農林水産物の高付加価値化A食と健康B水産資源の保全と活用C食料生産技術の開発―の先駆的な研究を行う。


「弘大青森キャンパス」の看板が掲げられている
北日本新エネルギー研究所

大学院の専門研究が行われる
「北日本新エネルギー研究所」

弘大研究所

青森市に25年度開設

「食料科学研究所(仮称)」も開設

「食のまち」 掲げる市が無償提供


「食料科学研究所」(仮称)が開設される市柳川庁舎

 「食」を研究テーマの主眼に据える同大学側の動きに対し、「食のまち・青森市」を標榜する市は同研究所の設立趣旨が市の方針に合致、産業経済の発展に寄与することから、食科研の開設に当たり、市の既存建物を無償提供するという内容の要請書を佐藤敬学長に提出していた。

 「食」に関しては、青森市と弘前大学は既に連携の実績がある。「青森市と国立大学法人弘前大学との連携に関する協定書」に基づき、農林水産部門では「ナマコ」「カシス」について共同研究を行ってきている。こうした連携、実績の素地がある上に、「北日本新エネルギー研究所」との併設案等を示す青森市側の熱意に大学側も呼応、同市への開設が決定した。

 同研究所が青森市へ開設されることにより、これまで以上に両者がより緊密度を深め、基幹産業の隆盛を図ることが課題だろう。リンゴ、コメ、野菜については品種改良、加工抽出技術などの高付加価値化を模索する試み、果樹カシスについては、収穫の効率化や加工残渣の活用など循環型システムの確立などが急務だ。また、水産資源については環境保全、有望栽培魚種の選定などの研究への期待もかかる。

 全国有数の食糧供給県である本県に「食」の研究施設が整うことに、各界各層からも歓迎の声が上がっており、その声は「産学官連携による研究開発の一層の進展が見込まれる。青森市が食育、食文化はじめ食に関するあらゆる情報を全国に発信する拠点都市になる可能性がある」―に集約される。

 青森市の担当者は「市が有する農林水産資源を活用した新たな商品開発や、健康食品の分野での新産業創出の進展が見込まれるのを期待したい」と話す。

 青森市では現在、本庁舎の建て替えが計画されている。弘前大学では、新庁舎の供用開始となる平成30年度には、柳川庁舎での食料科学研究所の拡充を図るとともに、北日本新エネルギー研究所も同庁舎への移転を計画している。

 「エネルギー」と「食」は将来、地球上で最も重要視されるテーマと見られる。弘前大学は「食科研」と「エネルギー研」の二つの研究所の有機的連携により「これまで以上に大学の教育研究の飛躍的な質の向上が図られる」と話しており、両研究機関が地域経済の活性化に大きく貢献するかどうかは、より進化した産学官連携の成否にかかっていると言えよう。


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