特 集 高まる青函圏交流への期待


誘客態勢の整備・強化づくり急ぐ

北海道新幹線新函館駅開業にらみ


今別町に設置される奥津軽(仮称)駅イメージ

建設が進む新幹線の高架橋(飛鳥高架橋)

 北海道新幹線(新青森―新函館間)は、平成27年度末の開業を目指し建設が進んでいる。開業すれば新青森―新函館間の所要時間は速達タイプの新幹線で約40分となり、大幅に短縮される。時間短縮の効果は、青森市と道南地域の人的、物的交流の活発化を促し、青函両域の産業、観光面を大いに刺激するものと期待が膨らむ。一方で、新函館駅開業は、新青森駅を通過駅にさせる懸念要素もはらんでいる。青森商工業界は3年後の北海道新幹線新函館駅開業を見据え、道南地域をも視野に入れた「青函広域経済圏」活性化戦略を描く。とりわけ観光面での相乗効果を期待、官民一体となった誘客態勢の整備・強化づくりを急いでいる。

産業、観光面に刺激

青函商議所が支援事業を実施

 青森市と函館市。津軽海峡を隔てながらも、その交流の歴史は古い。昭和63年の青函トンネル開通を契機に両市の交流は一段と深まり、青函トンネル開業1周年の平成元年には、「ツインシティ提携」に調印した。ツインシティ締結から24年が経過。東北新幹線全線開業を経て、3年後の北海道新幹線新函館駅開業に向けて、新たな青函新時代到来を迎えようとしている。

 青森商工会議所・青函圏交流特別委員会は、函館商工会議所と連携し、「会員事業所パートナーシップ支援事業」実施に向け準備を始めている。同委員会は、これまでも青函両地域の交流活動を行い、青函経済交流の方向、方策、課題などを探ってきた。今回の事業実施は青函交流をさらに軌道に乗せるための新たな取り組みで、「両商議所会員事業所の優れた商品や技術連携を促進し、青函圏域はじめ国内外に発信できるようパートナーシップを構築しよう」というもの。同事業懇談会の年内開催を目指し今、函館商工会議所と事前交渉を進めている。

 時短効果の最大なものは人の流れだろう。なかでも観光客の往来には青函双方ともに熱い視線を注いでいる。

 今年5月、青森市、青森商工会議所、青森観光コンベンション協会などで構成する「青森市観光振興会議」(会長・加賀谷久輝副市長)がスタートした。東北新幹線全線開業前後の期間に発足し、一定の役割を果たしてきた「新青森駅開業対策実行委員会」を発展的に解消し設置したもの。狙いはズバリ、東北新幹線全線開業効果のさらなる発展と北海道新幹線新函館駅開業を「第二の開業」と捉える動きだ。観光業界は、青森県と道南地域を一体化した広域観光資源をパッケージにした商品開発づくりを目指す。関係者は「函館延伸により北東北と道南地区が一緒になった大きな観光ゾーンが売り込める」と意気込む。

 観光資源の発掘は、函館側も並々ならぬ意欲を見せている。函館市の「はこだて活性化アクションプラン」を見ると、新幹線開業を見込んだ「青函圏観光ルート・新規交流プログラムの創出」を挙げ、「三内丸山遺跡や南茅部縄文遺跡群といった縄文遺跡の活用など青函圏の地域資源を結びつけた魅力ある旅行商品づくりを進める」としている。

道南地域との共存共栄を探る

JR東日本も青函観光をPR

 JR東日本も青函連携による魅力ある観光資源の発掘に着目。同社は今年12月から来年3月まで、青函地区を「重点販売地域」に指定した観光キャンペーンを首都圏を対象に実施する予定だ。東北新幹線全線開業をとらえ、本県で展開した「青森デスティネーションキャンペーン(DC)」に続く同社の宣伝戦略を業界も歓迎しており、「青函広域観光の魅力発信に向け、大きな支援になる」と話す。

 青函交流をより進化させたい動きは商業者の間でも活発だ。今年2月、青森市内の飲食店が函館駅前の屋台村「大門横丁」に出展、「青森屋台横丁 in はこだて」を開催した。青森の銘酒、県産リンゴを使ったホットアップルレモネード、青森味噌カレー牛乳ラーメンなどが人気を集めた。同企画を主催した「青森市中心市街地活性化協議会」は「新幹線開業を発展と交流拡大の契機ととらえた。今後も青函連携の試みには積極的に参加していきたい」と話す。

 北海道新幹線新函館駅開業により、青函地域は一つの圏域としての結びつきをさらに強めようとしている。函館市は新幹線開業を契機に、「青函一体感の醸成を図り結束を強固にしていく」と宣言している。これに対し、青森商工会議所の林光男会頭も「青函両地域が地域の特色を生かし、互いに足りないところを補完し合う関係でいたい。競合というより、経済交流を進め共存共栄を探るべき」と話す。

 新幹線をパイプ役に互いに手を取り合い産業・経済、文化などあらゆる分野での交流を深め、新たな青函圏域をつくろうという動きが今後、さらに活発化しそうだ。青函の食材を生かした商品開発など青函ブランドの誕生も待ち遠しい。知恵を集結してこそ活路も開けるだろう。

北海道新幹線

 2015年度末の開業目指し建設中の北海道新幹線(新青森・新函館(仮称)間、総延長約149㌔)の事業費ベースの進ちょく率は、今年9月1日現在で71.8%。本県側は新青森駅から青函トンネル入り口まで約44㌔。うち、新設区間となる新青森駅から外ケ浜町大平間28.7㌔の土木工事の進ちょく状況は、同日現在約66%。同新幹線新青森・新函館間のうち、青函トンネルを含む約82㌔は新幹線規格で既に整備済みだ。



3年後の新函館駅開業を目指す北海道新幹線

北海道新幹線飯田高架橋(七飯町)工事現場

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